アニサキス予防策を取っておいしいしめ鯖を食べよう

さっぱりとしていながら程よい旨味があり、日持ちがするしめ鯖。日本酒からビールまで多くのお酒に合う万能のおつまみでもあります。美味しいしめさばですが、「食べたら食中毒になってしまった」というケースもあります。食虫毒の原因と考えられるのが、アニサキスという寄生虫です。ここでは、そんなアニサキスの実態と食中毒の予防策をご紹介します。

アニサキスって何?

アニサキスは、主に生魚に寄生している寄生虫の一種です。サバに限らず、サケやアジ、イカ、タラなど多くの魚に寄生しています。他の魚よりサバで食中毒になることが多いため、通称「サバ虫」とも言われています。アニサキスは線虫の仲間で、長さ2cm~3cm、太さ0.5~1mmくらいで半透明のミミズのような形をしています。くるっとした渦巻き状になっていることも多いようです。通常は魚の内臓部分に寄生していますが、鮮度が落ちてくると筋肉部分にも移動してくることがあります。

アニサキスを食べてしまったらどうなる?

もしアニサキスを食べてしまっても、人間の体の中で成虫になることはありません。体内で生きられずに数日で死滅するか、体外に排泄されます。たいての人は食中毒の症状が出ないか軽症で済みます。しかし、時にはアニサキス症を発症することがあります。これはアニサキスが胃壁や腸壁に噛みつくことで体がアレルギー反応を起こし、周囲の粘膜が腫れて腹部が激しく痛むものです。のたうち回るほどの激しい痛みが起こると言われています。まれにアナフィラキシーショック症状に陥ることもありますので注意が必要です。腹痛以外の症状としては、むかつきや嘔吐があります。こうなってしまったら、すぐに医療機関を受診しましょう。胃アニサキス症の場合、胃内視鏡検査でアニサキスを見つけ、ピンセットのようなもので取り出します。腸アニサキス症では、対症療法を取るのが一般的です。

アニサキス症の予防

鯖をお酢でしめるしめ鯖を作る場合、どのようなアニサキス対策が必要でしょうか。アニサキス症の予防は、加熱や冷凍がもっとも効果的です。魚の中心部まで十分な加熱するか、マイナス20度で24時間以上冷凍すればアニサキスは死滅します.生食以外ではこのいずれかの対策を取れば安心です。

自分で鯖をおろしてしめ鯖を作る場合は、鮮度を重視します。新鮮なうちに内臓はしっかり取り除きましょう。そして、調理の際にはアニサキスがいないかよく確認し、発見したらすぐに取り除きます。「寄生虫なんだから見えるわけはない」と思いがちですが、アニサキスは意外と見つけやすいです。アニサキスは長さが2センチ前後、太さも1mm弱のサイズですから、目視でも十分確認できます。スーパーなどで買って調理する際は、必ず生食用を選びましょう。加熱用はしめ鯖には向きません。生食用を購入後にまず冷凍し、翌日以降に調理すればより安心です。

しめ鯖に使うお酢には殺菌効果があるので、アニサキスを殺してくれると考えがちです。しかし、残念ながら酢にはアニサキスを殺す力はありません。ワサビなどの薬味も殺傷能力は期待できません。また、よくかんで食べることがアニサキス症の予防になると言われていますが、寄生虫のことを絶えず考えながらしめ鯖を食べても、美味しくは感じないでしょう。それよりも口に入れる前に駆除することの方が重要です。また、養殖された鯖もアニサキスが寄生していないとは限りません。寄生のリスクは減りますがゼロではありませんので、注意するに越したことはないでしょう。

予防策を取って美味しくしめ鯖を食べましょう

「もしアニサキス症になってしまったら」と考えると、おいしいしめ鯖もちょっと敬遠してしまうかもしれません。しかし、紹介したような対策をしっかり取れば、安心して食べることができます。正しい知識を得た上で新鮮な食材を選び、調理をすればアニサキスは怖くありません。ぜひしめ鯖をレパートリーに加え、料理の幅を広げてください。