脂の乗った甘みのある鯖とさっぱりしたお酢の風味がたまらないしめ鯖ですが、家でも簡単に作ることができる人気の料理です。しかし、生魚には腹痛や嘔吐などの原因となってしまう寄生虫のアニサキスがいるため、調理には注意が必要です。そこで、今回はアニサキス症を予防するための対策や料理をするときの注意点などをご紹介していきます。
そもそもアニサキスってなに?
アニサキスは白色透明になったミミズのような寄生虫で、サバやアジ、サケなどの胃袋や腸など内臓の周りに多く付着しています。生きたままのアニサキスを体の中に取り込んでしまうと胃や腸にアニサキスが寄生して、強い腹痛や嘔吐などの症状が現れるアニサキス症を発症してしまいます。アニサキス症に対する駆虫薬はないことから、胃カメラでアニサキスを取り除いたり、ひどい場合は開腹手術が必要になるため、特に生魚を調理する時には注意が必要です。また、生の鯖はアニサキス症だけでなく、腹痛や下痢などアレルギー様症状の原因となるヒスタミン生成菌が増殖して起こるヒスタミン食中毒、調理中の衛生管理不足などで腹痛や発熱などを起こす腸炎ビブリオなどを引き起こす可能性もあると言われていますので、扱いには十分に気を付けましょう。
しめ鯖を作る時のアニサキス対策①調理前
アニサキス症の原因となるアニサキスは熱や寒さに弱く、70度以上のお湯で加熱したり、氷点下マイナス20度で24時間冷凍するだけで死滅するものの、しめ鯖は生の鯖を使用するため、調理の際はより注意が必要になります。アニサキス対策のために一番重要なのが新鮮な鯖を使うことですが、一度冷凍した鯖は解凍中に鮮度が悪くなってしまうため、しめ鯖を作る時は鮮度の良い釣ったばかりのものか表皮が黄色に変色していないハリのあるものを選びましょう。
アニサキスは内臓の周りに多く寄生していますが、鮮度が落ちると魚の身の部分に侵入してしまうので、内臓を早く取ることが大切です。身の部分のお腹周りにアニサキスが侵入した後に残る、少し茶色や黒っぽく変色している箇所がないかをしっかりチェックしましょう。スーパーなどで生の鯖を買った時は予め頭と内臓を落としてもらっておくと安心です。また、3枚下ろしにする時にはアニサキスが寄生している可能性がある腹骨・腹腔を取り除いておきましょう。
しめ鯖を作る時のアニサキス対策①調理中
新鮮な生の鯖を使って早めに内臓などを取り除いておくことでアニサキス症のリスクは少なくなりますが、調理中もポイントを押さえておくことでより安全にしめ鯖を作ることができます。アニサキスは食塩にも弱いため、塩漬けする時には身が全部隠れるくらいたくさんの塩を使って漬けましょう。次に、酢漬けをする時にはお酢と一緒にみりんも使います。お酢は殺菌効果があることが知られていますが、アニサキスには効果がないため、みりんや料理酒などアルコールが含まれている調味料を使うことでアニサキス対策になります。
酢漬けが完成した後は薄皮を向いて食べることができますが、万が一を考えて徹底したアニサキス対策をするのであれば、24時間以上冷凍してアニサキスを死滅させるのがおすすめです。切り分けて食べる時はできるだけ薄い切り身にすることで、アニサキスを物理的に死滅させることができるので切り方にも気を付けましょう。食べる時にはワサビをつけたり、いつもよりよく噛んで食べたりするものアニサキス対策になります。
しめ鯖を作る時は新鮮な鯖を選ぶことが大切
塩やみりんなどアニサキスに効果がある調理方法を取り入れたとしても、そもそも鮮度の落ちている鯖を使ってしまってはアニサキス症のリスクが高くなってしまいます。しめ鯖を作る時は魚選びが重要です。鮮魚市場などその日に水揚げされた新鮮な鯖が手に入るお店を見つけて、安全で美味しいしめ鯖が作れるようにしましょう。